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【FF16クリア感想】人が人らしく生きられる世界を

ファイナルファンタジー16(以下、FF16)を先日クリアしたので、感想とゲームの見どころなどを書いていきたいと思います。

※あまり直接的な話はしていませんが、ネタバレありです。

世界とストーリー

まず、前情報にある復讐劇というのはかなり一瞬の話で、ゲームの本筋としてはすごく王道でした。

物語の舞台となるヴァリスゼアでは、人々はクリスタルを介してのみ魔法が使え、クリスタルなしで魔法が使える特異な体質の人々を「ベアラー」と呼び蔑み、奴隷として扱っています。魔法は人々の生活に密に関わり、料理や鍛冶は火の魔法、洗濯物を乾かすのは風の魔法、生活水は水の魔法で供給…と、魔法なしでは暮らしていけない状態です。

魔法が使えるベアラーが少数派なせいで、ベアラーの扱いがまあ酷いったらない。人ではなく物、消耗品のように扱われている。ベアラーとわかればもう村八部。我が子がベアラーだと「処分してください」なんて言う親がいる光景はザラです。

さらに、クリスタルの大元のマザークリスタルというものがあり、大国が抱えるそれがこの世界のエーテル(魔法エネルギー)を独り占めしている状態なのですが、大地のエーテルを吸い上げているために「黒の一帯」という、草一本生えないヤバい土地が増えていたりします。

そんな虐げられている人々の尊厳や人権を取り戻し、マザークリスタルを破壊することでクリスタル依存から脱し、世界を正常化するというのがストーリーの大筋です。FF7をご存じの人は、エーテルを魔晄エネルギーに、マザークリスタルを魔晄炉に置き換えるとわかりやすいかもしれません。

クリスタルが重要な要素となっていたり、世界観としてはFF6以前の空気に近いものがあるなという印象でした。すごく最新なのに、古典的で王道なファンタジーです。

いいなと思ったところ

一貫している主張とクライヴの人柄

「人が人らしく生きられる世界」というのが主人公クライヴの主張です。シドの言葉に、クライヴのアレンジが加わったものですが、この言葉がすべての戦う動機に繋がっています。当たり前のことなのですが、何がやりたいかわならない主人公ではない!というのは非常に好感が持てました。

そしてクライヴくん、心優しくてとても純朴なんですよね。あんなセクシーで雄々しい外見なのに、素朴な人柄!ギャップがあってそこがとても素敵でした。ロイヤル奴隷堕ちという経歴なのに、泥をすすって生きてきた割にはとてもピュアでまっすぐです。そしてむちゃくちゃ弟想い!

少年期、青年期、壮年期という長期にわたって彼を見守ることになるため、この作品の主人公がクライヴでよかったなぁとしみじみ思います。

相棒トルガルが可愛い

クライヴくんの相棒のオオカミです。攻撃も回復もしてくれる万能オオカミで、撫でることもできます。無茶苦茶可愛い。プレイする度にトルガルを撫でてスクショを撮っていました。動物好きな人には、トルガルがいるという理由だけでFF16をお勧めしたいです。

仲間キャラたちの魅力

クライヴにはたくさんの仲間がいます。拠点となるシドの隠れ家のメンバーをはじめ、各都市にいる協力者たちです。メインストーリーはもちろん、サブイベントでさらに彼らのことを深く知ることができるのですが、みんな魅力的で、色んな人生があるんですよ。 サブキャラたちが思い悩みたくましく生きている姿を見ると、この世界に生きている人々が愛おしくなっていきます。ここまで主人公の周囲を幅広く描いたFFはなかったんじゃないかなーと思います。

クライヴの相棒はトルガルと言いましたが、人としての相棒と言えばやはりこの人!ガブ!このゲームにいてくれてよかった、と心底思えるキャラです。伯父さんやミドと出会うまでの唯一のムードメーカーでありクライヴの親友です。

ちなみに私の推しはザンブルク皇国のディオン=ルサージュ殿下です。竜騎士というだけでかっこいいのに、こんなにも顔がいい!一人称が「余」!これからプレイされる方は、どうかディオン様を、バハムートをよろしくお願いします!!!

あと、各地の支援者の中で一番好きなキャラ、茨の接吻のルボルくん。飄々とした中に熱いパッションを持つところがいいですね。あと顔がいい。

良質なサブイベント

上記のサブキャラたちに関わるサブイベントですが、とても内容が濃いです。メインストーリーの解釈に直接関わるものばかりな印象です。サブイベントを全てやっているかどうかで、このゲームの解像度が大幅に変わります。

例えば、「最後の敵を倒して解決なのか!?」というベアラー差別の問題は、ダルミル宿場のルボルのイベントが一つの答えになっているかと思いますし、マーサの宿のイベントもまたベアラーたちの今後について考えることができる内容だと思います。魔法の力が消えたとしても、ベアラーの刻印は手術しない限り消えません。今後も差別の対象になるのでは?という疑問に、これらのサブイベントはしっかりと答えを提示していると思います。

また、発生するサブイベントの数がとても程よいです。メインストーリーを一定進めるたびに大体2~3個程度出現します。リスキーモブ(強めの敵の討伐)と合わせても大した量ではないので、「お使いクエストだらけ」みたいなことにはなりません。全てこなしたうえで次のメインクエストに進めるような量になっています。(流石にラスダン突入前だけは、大量に出ますが)
特に、潔くミニゲームを無くしたことは英断だと思います。お陰でかなりストーリーに没頭できました。

国家間の関係・情勢などのわかりやすさ

FF16の世界はいつくかの主要な国家によって成立しています。そしてそれぞれの国がエーテルの要であるマザークリスタルと、召喚獣に変身できる「ドミナント」という存在を抱えています。複雑に絡み合う国家情勢に通常ならば頭がこんがらがるところですが、なんとFF16ではと主人公たちの目線で定期的に情勢を整理して講義としてストーリー上で説明してくれます!!そういう軍事参謀みたいなキャラがいるので、ごく自然に主人公たちもその話を聞く流れになります。

用語説明などももちろんあるのですが、ここ最近のFFナンバリングはその用語集に頼りすぎというか、用語集で大事な情報説明しすぎ感があったので、この講義の部分はすごくいいなと思いました。

あと、個人的には国とそこに生きる人々の関係がしっかり描かれているRPGはとても好きです。主人公たちの周辺だけで物語が終始し、独善的に解決して終わる…というストーリーはスケールの狭さや浅さを感じてしまうので、色んなものを丁寧に描いていく本作はそれだけで「久々にFFやってる!」感がありました。

様々な愛のかたち

FFといえばヒロインとの関係!FF16ではクライヴとジル!私は二人がいい感じな空気になる度に、背後から二人を押したかったです。じれってえ!!!あまりに過酷なストーリーの為、二人とも戦う決意を固める会話が中心なのですが、時折垣間見える絆にとてもニヤニヤしておりました。すべてが終わった後は、二人でヴァリスゼアの外に旅に出たのかなと思うと、幸あれ…と言いたくなります。

そして愛と言えば外せない、兄弟愛!こんなに想い合ってる兄弟をあまり見たことがないというくらい、強い絆で結ばれているクライヴ&ジョシュアのフェニックス兄弟。顔がいい。あのまま平和にロザリアにいたら、いい王と強いナイトで支え合ってよい国になっただろうなぁと思わずにはいられません。でも兜のサブイベントを見る限り、成長した二人がそこにいるだけでエルウィンさんも喜んでるみたいですね。

愛と言えば印象的だったのは、恐らくFF史上初の男性同士のカップル。そう!私の推しのディオン様、彼氏がいるんですね~。しかも直属の部下!別にそれを理由に推しキャラなわけじゃないですよ。(最初に見た時は黄色い悲鳴を上げましたが)何か特別なベントがあるわけではく、ただディオン=ルサージュというキャラの造形を深めるだけの要素ではありましたが、お互いを想い合っているのがよくわかって「いい二人だな~」と思いました。

これはちょっと…と思ったところ

脱衣・イチャイチャ多め

なぜかわりと脱いでいるシーンが多いです。そしてこれまでのFFに比べると直接的にイチャイチャしているシーンが多いです。多少(?)チュッチュする程度や朝チュン程度なのですが、映像がリアルになったため、かなり肉感的になっているので、お茶の間でプレイする場合は注意が必要です。後から思うとそれいる…?脱いでる必要ある…?というシーンもあるように思うので、個人的にはもう少し全体的にさらっとした描写でよかったのではと思いました。

とにかく人が死ぬ

むちゃくちゃ人が死にます。モブもメインも構わずバンバン死にます。結構死に方も、眼をそむけたくなるものが中にはあります。例えるなら、北斗の拳並みに残虐が繰り返される…と言ったら程度がわかるかもしれません。

しかしこれまでのFFでも、死傷者や残虐描写はかなりありました。(FF9なんかは可愛いらしい雰囲気ですが、序盤の死の描写はかなり多めでした。)映像が非常にリアルになったせいで、これまでと同様の死の描写を行っていても、さらに残酷さを増したように見えているといった感じです。

ただ、メインキャラクターに関してはちょっと死にすぎるのではないかと思いました。誰とは言いませんが。特に序盤は、敵とはいえども愛着がわく前に亡くなったりするキャラもいます。まあ、メインキャラのほとんどが召喚獣を有するドミナントなので、そういう結末にならざるを得ないところがあるのかもしれませんが。ここが恐らく、FF16を好むかどうかの分かれ目かもしれません。

個人的に無意味な死が一つもなかったので、そこまで気になる要素ではありませんでしたが…もう少しご都合でなんとかなったものがあってもいいのにな~とは思いました。

バトルのアクション性と長さ

召喚獣(ドミナント)とのバトルなど、美麗映像をそのまま操作するような感覚は本当に素晴らしいと感じたのですが、かなりボス戦のバトルが長いです。ボスバトル→QTE→ボスバトル→QTE→ボスバトル…のような感じなので、ひとたび召喚獣とのバトルが始まってしまうと、結構途中で切りにくいです。(コンティニューはあるんですが、心理的に切りにくい…流れって大事じゃん?)

そして、バトルそのものが圧倒的にアクション寄りになり、往年のコマンド選択要素などは皆無です。パーティーも、主人公のクライヴしか装備変更・アビリティ設定ができません。例えるならデビルメイクライなどのアクションゲームでFFをしている…という感じです。バトル自体は爽快感もありとても楽しかったのですが、個人的にはもうちょっとコマンドバトル寄りのほうが好きです。

アクションゲームが苦手な方は、最初の設定でモードが選べますので、簡単な方にしておくことをお勧めします。

敵キャラがちょっと残念

敵であるバルナバスやアルテマが正直あまり魅力的に感じませんでした。最初は「かっこいい~!」「すごい!なんか底知れなそう!」と思っていても、蓋を開けたら「おや…?」という理由だったり、キャラだったり…味方キャラが魅力的なぶん、かなり霞んで見えてしまいました。

悪役という意味でインパクト大のアナベラも、なんだか逃げられたような形での幕切れだったので少し残念でした。

先が読めてしまうメインストーリー

後半にかけて良質なサブイベントが発生する代わり、メインストーリーはタイタンを倒したあたりから先が読める展開になっていきます。良く言えばシンプル、悪く言えば起伏に乏しい…という感じです。やることがマザークリスタル破壊で、倒す対象もどんどん絞られていくので当然なのですが、特にイレギュラーな敵やどんでん返しもなくラストまで行くので、何らかの起爆剤が後半に欲しかったなーと少し思いました。

FF16の世界の問題は「エーテルの枯渇という物理的なもの」「人々に根付いたベアラー差別という心理的なもの」という二つに分けられると思いますが、結局クライヴ自身が直接解決したの物理的な問題のほうだったんですよね。精神的な問題のほうは、サブイベントで色々と解決策を見ることができますが、これらをどうにかしてメインに入れられなかったのかな~と思わずにはいられません。

潔すぎるエンディング

エンディング自体は素敵な演出だなと思ったのですが、もっとキャラのその後とかも見せてくれ~~~~!!!メインキャラのその後はもちろん、各地の協力者とかもその後が見たい…!(FF8のED構成が最高だと思っているので、あれぐらい欲しいタイプ)

余韻を大事にしたエンディングなのでしょうが、レビューなどを見ているとオリジン(ラスダン)突入組の生死すら読み取れていないプレイヤーが多すぎるため、もう少しはっきりとその後を描いてもよかったのでは…と思います。

というのもFF16、メインクエストだけで突き進んでいるプレイヤーにはバッドエンドに見えるかもしれないのです。それが本当に勿体ない!!!終わり方に賛否とか言われててなんだと思ったら、明らかにサブイベントやってない人ばかりが文句言っててEDの意図全然伝わってないじゃないですか…!

エンディングの印象を変えるには終盤の「ハルポクラテスのサブイベント」「ジルのサブイベント」をやる必要があります。そのうえで、ゲームのスタートと終了がクライヴの台詞…ということを考えてみると、あの本の著者は…。
ということで、少なくとも突入組で明確に生存しているキャラが一人わかります。(ちなみに私の推しのディオン様は満足してたからあれでヨシ!)

こういう風に、サブイベントありきで少し考える必要があるエンディングなのが非常に勿体ない。逆にこれらをやったうえで見た場合は、とてもいい余韻が味わえました。 が…私はエンディングってある程度蛇足も必要だと思うんですよ…。これだけ魅力的にヴァリスゼアに生きる人々を描いているので、その後は「余韻で」とか、「想像にお任せ」だけじゃなくて、これまでの理から解き放たれた世界を生きている姿がしっかり見たかったなーと思いました。

総括

私はFF4~10、10-2、12、13、14、TA、FF7R・リバース(FF14は現在進行形)をプレイしてきましたが、やはりリアルタイム世代ということもあり6~10あたりのFFが特に好きです。12、13とプレイしてあまり印象に残らない、正直何がしたいのかよくわからなかった…という印象が強くなってしまったので、最近のFFうーん…という感じで15についてもプレイしていませんでした。

FF16については、FF14のプロデューサーの吉田さんが関わっているため購入したというところが大きいです。FF14についてはとても楽しんでプレイしています。(現在やっと暁月6.0をクリアしたところです)

で、結局10までのFFと比べてどうだったのか!?ということろですが…うーん…いいゲームだけど、FF10までの面白さとはまた違うかな~~~?という印象です。これ、かなり思い出補正もあるので難しいのですが、ストーリーの重さとアクション寄りすぎる部分が個人的には枷になっています。
私はコマンドバトルが元々好きなので、ゴリゴリのアクションでクライヴしか操作ができない…というのが、ちょっと物足りない感じでした。アクション自体はとても楽しかったですけどね。(召喚獣バトルのくどさを差し引いたとしても)でも仲間を操作したり、パーティー全員の装備とか買ったりしたかったなーと。操作はできなかったとしても、テイルズのように仲間に戦闘の指示が出したかったですね。

重いストーリーについては、これまでのFFでも基本軽くはないんですが、空気はここまで重くなかったというか…どんな旅路でも表面上はそこまで暗くなかったんですよね。奴隷制、ベアラー差別という問題がやはり重い。

扱うテーマが重すぎるため、血生臭くどんよりとした光景を旅の間ずっと目にすることになったので、せめて明るいムードメーカーのようなキャラがもっと序盤で出てくるほうがよかったなーと思いました。ガブは結構潜入で同行しないパターンも多かったですし、中盤以降、叔父さんやミドが出てくると楽しかったので。(ディオン様にハグするミド面白かったw)

ただ、一番最近プレイしたFF13、FF7リメイク・リバースに比べると格段に面白かったです。正直雲泥の差です。FF16はしっかりとした骨太の物語に終始没頭でき、メインサブ問わずどのキャラも懸命にこの世界で生きているということを感じることができます。クリアを迎える頃には、ヴァリスゼアに生きる人々が大好きになっていました。
こんな風に世界を感じることができ、この地に生きる人々を想うことができる…というのは個人的にはFF史上初でした。本当にいいRPGだと思います。このクオリティなら、次のFF17もプレイしてもいいなーと思いました。
それぐらいには今作は素晴らしいゲームだったと思います。

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